中華人民共和国特許法
第 1 章 総則
第1条
発明、創作の特許権を保護し、発明、創作を奨励し、発明、創作の普及と応用に役立たせ、科学技術の進歩と革新を促進し、社会主義近代化建設の要請に応えるために、本法を制定する。
第2条
本法でいう発明、創作とは、発明、実用新案及び意匠をいう。
第3条
国務院特許行政部門は全国の特許業務の管理に責任を負い、特許出願の受理と審査を一元化し、法に基づいて特許権を付与する。
省、自治区、直轄市人民政府の特許業務管理部門は、その行政区域内の特許管理業務に責任を負う。
第4条
特許出願する発明、創作が国家の安全又は重大な利益に関連し、秘密保持の必要があるときは、国家の関係規定に基づいて処理する。
第5条
国家の法律、社会道徳に違反し、又は公共の利益を害する発明、創作に対しては、特許権を付与しない。
第6条
所属機関又は組織の任務を遂行し又は主として所属機関又は組織の物的技術的条件を利用して完成させた発明、創作は職務発明とする。職務発明の特許を出願する権利はその機関又は組織に属し、出願が許可された後は、その機関又は組織が特許権者となる。
非職務発明、創作の特許を出願する権利は発明者又は創作者に属し、出願が許可された後は、発明者又は創作者が特許権者となる。
所属機関又は組織の物的技術的条件を利用して完成させた発明、創作について、機関又は組織と発明者又は創作者との間に契約があり、特許を出願する権利及び特許権の帰属について約定されているときは、その約定に従う。
第7条
発明者又は創作者の非職務発明&、創作の特許出願に対して、いかなる機関又は組織又は個人もこれを妨げてはならない。
第8条
2 つ以上の機関又は組織又は 2 人以上の個人が共同で完成させた発明、創作、又は 1 つの機関又は組織又は個人が他の機関又は組織又は個人の委託を受けて完成させた発明、創作については、別段の協議がある場合を除き、特許を出願する権利は完成又は共同で完成させた機関又は組織又は個人に属する。出願が許可された後は、出願した機関又は組織又は個人が特許権者となる。
第9条
2 人以上の出願人が同一の発明、創作について個別に特許出願したとき、特許権は最先の出願人に付与する。
第10条
特許出願権及び特許権は譲渡することができる。
中国の機関又は組織又は個人が特許出願権又は特許権を外国人に譲渡する場合、国務院の関係主管部門の認可を受けなければならない。
特許出願権又は特許権を譲渡する場合、当事者は書面により契約し、国務院特許行政部門に登録しなければならない。国務院特許行政部門はこれを公告する。特許出願権又は特許権の譲渡は登録の日より効力を生じる。
第11条
発明特許権及び実用新案特許権が付与された後、本法に別段に定めがある場合を除き、いかなる機関又は組織又は個人も特許権者の許諾を得ずに、その特許を実施してはならない。すなわち、生産経営の目的でその特許製品を製造、使用、販売の申出、販売、輸入し、又はその特許方法を使用し、その特許方法により直接得られた製品を使用、販売の申出、販売、輸入してはならない。
意匠特許権が付与された後、いかなる機関又は組織又は個人も特許権者の許諾を得ずに、その特許を実施してはならない。すなわち、生産経営の目的でその意匠特許製品を製造、販売、輸入してはならない。
第12条
いかなる機関又は組織又は個人も、他人の特許を実施する場合は、特許権者と書面により実施許諾契約を締結し、特許権者に特許実施料を支払わなければならない。被許諾者には、契約に定められた以外のいかなる機関又は組織又は個人に対しても、その特許を実施することを許諾する権利はない。
第13条
発明特許の出願公開後、出願人はその発明を実施している機関又は組織又は個人に対して、適当な対価の支払いを請求することができる。
第14条
国有企業の事業機関又は組織の発明特許が、国家の利益又は公共の利益に対して重大な意義を有するときは、国務院の関係主管部門及び省、自治区、直轄市の人民政府は、国務院の許可を得て、許可された範囲内で普及応用させるため、指定する機関又は組織に実施を許諾することを決定でき、これを実施する機関又は組織は国家の規定に基づいて特許権者に実施料を支払う。
中国の集団所有制の機関又は組織及び個人の発明が、国家の利益又は公共利益に対して重大な意義を有し、普及応用の必要があるときは、前項の規定を参照して処理する。
第15条
特許権者はその特許製品又はその製品の包装に特許標記と特許番号を表示する権利を有する。
第16条
特許権を付与された機関又は組織は、職務発明の発明者又は創作者に対して報奨を与えなければならない。発明、創作の特許を実施した後、その普及応用の範囲及び取得した経済的利益に基づき、発明者又は創作者に対して合理的な報酬を与えなければならない。
第17条
発明者又は創作者は、特許書類に自己が発明者又は創作者であることを明記する権利を有する。
第18条
中国に通常の居所又は営業所を有しない外国人、外国企業又は外国のその他の組織が、中国で特許出願する場合、その所属国と中国が締結した協定又は加盟している国際条約又は相互主義の原則に基づいて、本法により処理する。
第19条
中国に通常の居所又は営業所を有しない外国人、外国企業又は外国のその他の組織が、中国で特許出願し、その他の特許事務手続をする場合、国務院特許行政部門が指定する特許代理機関に処理を委任しなければならない。
中国の機関又は組織又は個人が国内で特許出願し、その他の特許事務手続をする場合、特許代理機関に処理を委任することができる。
特許代理機関は、法律と行政法規を遵守し、委任者の委任に従って特許出願又はその他の特許事務を処理しなければならず、委任者の発明、創作の内容について、特許出願がすでに公開又は公告された場合を除き、秘密保持の責任を負う。特許代理機関の具体的な管理方法は国務院が規定する。
第20条
中国の機関又は組織又は個人が、中国国内で完成した発明、創作を外国に特許出願する場合、先ず国務院特許行政部門に特許出願し、国務院特許行政部門が指定した特許代理機関に手続を委任し、かつ本法第4条の規定を遵守しなければならない。
中国の機関又は組織又は個人は、中華人民共和国が加盟する国際条約に基づいて国際特許出願をすることができる。出願人が国際特許出願を行う場合、前項の規定を遵守しなければならない。
国務院特許行政部門は中華人民共和国が加盟する国際条約、本法及び国務院の関係規定に基づいて国際特許出願を処理する。
第21条
国務院特許行政部門及びその特許審判委員会は、客観的、公正、正確、適時の要求に基づいて、法により関係する特許出願及び請求を処理しなければならない。
特許出願が公開又は公告される前、国務院特許行政部門の職員及び関係者は、その内容に対して秘密保持の責任を負う。
第 2 章 特許権付与の要件
第22条
特許権を付与する発明及び実用新案は、新規性、進歩性及び実用性を有していなければならない。
新規性とは、出願日以前に同一の発明又は実用新案が国内外の出版物に公に発表されておらず、国内において公に実施又はその他の方法で公衆に知られておらず、また同一の発明又は実用新案について他人により出願日以前に国務院特許行政部門に出願されかつ出願日後に公開された特許出願書類に記載されているものがないことをいう。
進歩性とは、出願日以前にすでにある技術と比較して、その発明が格別の実質的な特徴及び顕著な進歩を有し、その実用新案が実質的な特徴及び進歩を有していることをいう。
実用性とは、その発明又は実用新案が製造又は使用することが可能であり、かつ積極的な効果を生じるものであることをいう。
第23条
特許権を付与する意匠は、出願日以前に国内外の出版物に公に発表され又は国内で公に実施された意匠と同一でも類似でもなく、また、他人が先に取得した合法的権利と抵触してはならない。
第24条
特許出願した発明、創作が出願日前の 6 ヶ月以内に、次に掲げる事由の一つに該当するときは、新規性を喪失しない。
( 1 )中国政府が主催又は承認した国際展覧会において初めて出展したもの。
( 2 )指定された学術会議又は技術会議で初めて発表したもの。
( 3 )他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らしたもの。
第25条
次に掲げるものについては、特許権を付与しない。
( 1 )科学的発見。
( 2 )知的活動の法則及び方法。
( 3 )疾病の診断及び治療方法。
( 4 )動物及び植物の品種。
( 5 )原子核変換の方法により得られる物質。
前項第( 4 )号の品種の生産方法については、本法の規定に基づいて特許権を付与することができる。
第 3 章 特許出願
第26条
発明又は実用新案の特許出願する場合は、願書、明細書とその要約及び特許請求の範囲等の書類を提出しなければならない。
願書には、発明又は実用新案の名称、発明者又は考案者の氏名、出願人の氏名又は名称、住所及びその他の事項を記載しなければならない。
明細書には、発明又は実用新案について、その技術分野に属する技術者が実施することができる程度に、明瞭かつ完全な説明を記載しなければならない。必要なときには、図面を添付しなければならない。要約には、発明又は実用新案の技術の要点を簡潔に説明しなければならない。
特許請求の範囲には、明細書に基づき、特許の保護を求める範囲を記載しなければならない。
第27条
意匠の特許出願をする場合は、願書及びその意匠の図面又は写真等の書類を提出し、かつその意匠を実施する物品及びその属する区分(類別)を明記しなければならない。
第28条
国務院特許行政部門が特許出願書類を受理した日を出願日とする。出願書類が郵送されたときは、郵便の消印の日を出願日とする。
第29条
出願人は発明又は実用新案を外国で最初に特許出願した日から 12 ヶ月以内に、又は意匠を外国で最初に出願した日から 6 ヶ月以内に、中国に同一の主題の特許出願をするときは、その外国と中国とが締結している協定又は共に加盟している国際条約、又は相互に優先権を承認する原則に基づき、優先権を享有することができる。
出願人は発明又は実用新案を中国で最初に特許出願した日から 12 ヶ月以内に、国務院特許行政部門に同一の主題の特許出願をする場合、優先権を享有することができる。
第30条
出願人が優先権を主張する場合、出願時に優先権を主張する書面を提出し、 3 ヶ月以内に最初に提出した特許出願書類の謄本を提出しなければならない。優先権を主張する書面を提出せず又は期間内に特許出願書類の謄本を提出しない場合は、優先権を主張しなかったものとみなす。
第31条
1 つの発明又は実用新案の特許出願は、 1 つの発明又は実用新案に限らなければならない。 1 つの発明構想に属する 2 つ以上の発明又は実用新案は、 1 つの出願とすることができる。
1 つの意匠の特許出願は、 1 つの物品に使用する 1 つの意匠に限らなければならない。同一区分に属しかつ一組として販売又は使用される物品に用いる 2 つ以上の意匠は、 1 つの出願とすることができる。
第32条
出願人は、特許権を付与される前はいつでも、その特許出願を取り下げることができる。
第33条
出願人は、その特許出願の書類について補正することができる。ただし、発明及び実用新案の特許出願書類の補正は、原明細書及び特許請求の範囲に記載した範囲を越えてはならない。意匠の特許出願書類の補正は、原図面又は写真に示された範囲を越えてはならない。
第 4 章 特許出願の審査及び許可
第34条
国務院特許行政部門は、発明特許出願を受理した後、初歩審査にて本法の要件を満たしていると認める場合、出願日から満 18 ヶ月後直ちに公開する。国務院特許行政部門は、出願人の請求に基づきその出願を早期に公開することができる。
第35条
発明特許出願の出願日から 3 年以内に、出願人は実体審査請求を提出することができる。国務院特許行政部門は、出願人が提出した請求に基づいて、その出願について実体審査を行うことができる。出願人が正当な理由なく期間内に実体審査を請求しないときは、その出願は取り下げたものとみなす。
国務院特許行政部門は、必要と認めるときは、職権で発明特許出願について実体審査を行うことができる。
第36条
発明の特許出願人は、実体審査を請求する際、その発明に関係する出願日前の参考資料を提出しなければならない。
発明特許がすでに外国で出願されている場合、国務院特許行政部門は出願人に、指定期間内に、その国がその出願の審査のために行った検索資料又は審査結果の資料の提出を要求することができる。出願人が正当な理由なく指定期間内に提出しないときは、その出願は取り下げたものとみなす。
第37条
国務院特許行政部門は、発明特許出願の実体審査を行った後、本法の規定を満たしていないと認めたときは、出願人に指定期間内に意見を陳述させ、又はその出願について補正するよう通知しなければならない。出願人が正当な理由なく期間を経過しても意見陳述又は補正しないときは、その出願は取り下げたものとみなす。
第38条
発明特許出願の出願人が意見陳述又は補正した後、国務院特許行政部門が依然として本法の規定を満たしていないと認めたときは、拒絶査定しなければならない。
第39条
発明特許出願が実体審査を経て拒絶すべき理由を発見しないときは、国務院特許行政部門は、発明特許権を付与する決定をし、発明特許証を発行し、同時に登録及び公告する。発明特許権は公告の日より効力を生じる。
第40条
実用新案及び意匠の特許出願が初歩審査で拒絶すべき理由がないときは、国務院特許行政部門は実用新案権又は意匠権を付与する決定をし、特許証を発行し、かつ登録及び公告する。実用新案特許権及び意匠特許権は公告の日より効力を生じる。
第41条
国務院特許行政部門は特許審判委員会を設置する。特許出願人が国務院特許行政部門の拒絶査定に不服があるときは、通知を受領した日から 3 ヶ月以内に特許審判委員会に不服審判を請求することができる。特許審判委員会は審判後に決定をし、特許出願人に通知する。
特許出願人は特許審判委員会の決定に不服があるときは、その通知を受領した日から 3 ヶ月以内に裁判所に訴訟を提起することができる。
第 5 章 特許権の存続期間、消滅及び無効
第42条
発明特許権の存続期間は 20 年、実用新案特許権及び意匠特許権の存続期間は 10 年とし、いずれも出願日から起算する。
第43条
特許権者は特許権を付与された年から年金を納付しなければならない。
第44条
次の各号の 1 つに該当するときは、特許権は存続期間の満了前に消滅する。
( 1 )規定に従って年金を納付しないとき。
( 2 )特許権者が書面によりその特許権を放棄したとき。
特許権が存続期間の満了前に消滅したときは、国務院特許行政部門はこれを登録し公告する。
第45条
国務院特許行政部門が特許権を付与することを公告した日から、いかなる機関又は組織又は個人もその特許権の付与が本法の規定に合致しないと認めたときは、特許審判委員会にその特許権の無効審判を請求することができる。
第46条
特許審判委員会は、特許権の無効審判請求についてすみやかに審査し決定を行い、かつ請求人及び特許権者に通知しなければならない。特許権無効の決定は、国務院特許行政部門がこれを登録し公告する。
特許審判委員会の特許権無効の決定又は特許権維持の決定に不服があるときは、通知を受領した日から 3 ヶ月以内に、裁判所に訴訟を提起することができる。裁判所は無効審判請求の相手方当事者に第三者として訴訟に参加することを通知しなければならない。
第47条
無効決定された特許権は、始めから存在しなかったものとみなす。
特許権の無効の決定は、特許権無効の決定前に裁判所が言い渡しかつすでに執行した特許権侵害の判決、裁定、すでに履行又は強制執行された特許侵害紛争の処理決定、ならびにすでに履行された特許実施許諾契約及び特許権譲渡契約に対しては、遡及効力を有しない。ただし、特許権者の悪意により他人に損害をもたらした場合は、賠償しなければならない。
前項の規定により、特許権者又は特許権譲渡人が実施許諾を受けた者又は特許権譲受人に特許実施料又は特許権譲渡の対価を返還しなければ明らかに公平の原則に違反するときは、特許権者又は特許権譲渡人は、実施許諾を受けた者又は特許権譲受人に、特許実施料又は特許権譲渡対価の全部又は一部を返還しなければならない。
第 6 章 特許の強制実施許諾
第48条
実施条件を備えている機関又は組織が合理的な条件で発明又は実用新案の特許権者にその特許の実施許諾を請求し、合理的な期間内に許諾が得られなかったときには、国務院特許行政部門はその機関又は組織の請求に基づき、その発明特許又は実用新案特許の実施について強制許諾を与えることができる。
第49条
国家の緊急事態又は非常事態が発生したとき、又は公共の利益のために、国務院特許行政部門は、発明特許又は実用新案特許の実施について強制許諾を与えることができる。
第50条
特許権を取得した発明又は実用新案が、先に特許権を取得した発明又は実用新案と比較して、顕著な経済的意義がある重要な技術的進歩があり、その実施が先の発明又は実用新案の実施に依存している場合、国務院特許行政部門は、後の特許権者の請求に基づき、先の発明又は実用新案の実施について強制許諾を与えることができる。
前項の規定により強制許諾を与えた場合、国務院特許行政部門は、先の特許権者の請求に基づき、後の発明又は実用新案の実施についても強制許諾を与えることができる。
第51条
本法の規定により強制実施許諾を請求する機関又は組織又は個人は、合理的な条件で特許権者と実施許諾契約を締結することができなかったことを証明する書類を提出しなければならない。
第52条
国務院特許行政部門が行った強制実施許諾の決定について、速やかに特許権者に通知し、登録及び公告しなければならない。
強制実施許諾の決定は、強制許諾の理由に基づいて実施の範囲及び期間を定めなければならない。強制許諾の理由が消滅し再び発生しないときには、国務院特許行政部門は特許権者の請求に基づいて、審査を経た後強制実施許諾を終了する決定をしなければならない。
第53条
強制実施許諾を取得した機関又は組織又は個人は独占的実施権を享有するものではなく、かつ他人に実施を許諾する権利を有しない。
第54条
強制実施許諾を取得した機関又は組織又は個人は、特許権者に合理的な実施料を支払わなければならず、その額は双方の協議により定める。双方が合意に達しないときは、国務院特許行政部門が裁決する。
第55条
特許権者が国務院特許行政部門の強制実施許諾の決定に不服がある場合、特許権者及び強制実施許諾を得た機関又は組織又は個人が国務院特許行政部門の強制実施許諾の実施料に関する裁決に不服がある場合、通知を受領した日から 3 ヶ月以内に裁判所に訴訟を提起することができる。
第 7 章 特許権の保護
第56条
発明又は実用新案特許権の保護範囲は、その特許請求の範囲を基準とし、明細書及び図面は特許請求の範囲の解釈に用いることができる。
意匠特許権の保護範囲は、図面又は写真に示されたその意匠特許の製品を基準とする。
第57条
特許権者の許諾を得ずにその特許を実施し、すなわち特許権を侵害し、紛争が生じた場合、当事者の協議により解決する。協議を望まず又は協議が成立しない場合、特許権者又は利害関係人は裁判所に提訴することができ、また特許業務管理部門に処理を請求することができる。特許業務管理部門が処理する際、侵害行為が成立すると認定したときは、侵害者に直ちに侵害行為を停止するよう命じることができる。当事者は不服がある場合、処理通知を受領した日から 15 日以内に、「中華人民共和国行政訴訟法」に基づいて裁判所に提訴することができる。侵害者が期間内に提訴せず、かつ侵害行為を停止しないときは、特許業務管理部門は裁判所に強制執行を申請することができる。特許業務管理部門は当事者の請求により、特許権侵害に対する賠償額について調停を行うことができる。調停が成立しないときは、当事者は「中華人民共和国民事訴訟法」に基づいて、裁判所に提訴することができる。
特許権侵害の紛争が新製品の製造方法の発明特許である場合、同一の製品を製造する機関又は組織又は個人は、その製品の製造方法が当該特許方法と異なることを証明する書類を提出しなければならない。実用新案特許の場合、裁判所又は特許業務管理部門は、特許権者に国務院特許行政部門が作成した検索報告の提出を要求することができる。
第58条
他人の特許を虚偽表示した場合、法により民事責任を負うほか、特許業務管理部門は、その是正を命じ、公告し、不法所得を没収するとともに、不法所得の 3 倍以下の罰金を科すことができる。不法所得がない場合、 5 万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。
第59条
非特許製品を特許製品と詐称し、又は非特許方法を特許方法と詐称した場合、特許業務管理部門は、是正を命じ、公告し、 5 万元以下の罰金を科すことができる。
第60条
特許権侵害の賠償金額は、特許権者が侵害により受けた損害又は侵害者が侵害により得た利益に基づいて確定する。侵害された者の損害又は侵害者が得た利益の確定が困難なときは、当該特許の実施許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。
第61条
特許権者又は利害関係人は、他人がその特許権を侵害する行為を実施し、又は実施しようとしていることを証明できる証拠を有しており、速やかにこれを制止しなければその合法的権益に補いがたい損害を受けるおそれがあるときは、提訴する前に裁判所に、関連行為の停止を命じ、かつ財産保全の処置をとることを申請することができる。
裁判所は前項の申請を処理する場合、「中華人民共和国民事訴訟法」第93条ないし第96条及び第99条の規定を適用する。
第62条
特許権侵害の訴訟時効は 2 年とし、特許権者又は利害関係人が侵害行為を知り得た日又は知り得たとみなされる日から起算する。
発明特許出願の公開後特許権が付与されるまでの間に、当該発明を実施し、適切な実施料を支払っていない場合、特許権者が実施料の支払いを要求する訴訟時効は 2 年とし、他人がその発明を実施していることを特許権者が知り得た日又は知り得たとみなされる日から起算する。ただし、特許権者が特許権の付与日以前にそれを知り得たか又は知り得たとみなされるときは、特許権付与の日から起算する。
第63条
次に掲げる事情の一に該当するときは、特許権の侵害とみなさない。
( 1 )特許権者が製造し、輸入し又は特許権者の許諾を得て製造し、輸入した特許製品又は特許方法により直接得られる製品を販売した後に、その製品を使用し、販売の申出をし、又は販売する場合。
( 2 )特許出願日前にすでに同一製品を製造し、同一方法を使用し又はすでに製造、使用のために必要な準備をし、かつ従前の範囲内でのみ製造、使用を継続する場合。
( 3 )一時的に中国の領土、領海、領空を通過する外国の輸送手段において、その属する国と中国が締結した協定、又は両国が共に加盟している国際条約、又は相互主義の原則に従い、その輸送手段自体の必要上その装置及び設備に関係する特許を実施する場合。
( 4 )科学研究及び実験のためにのみ関係特許を実施する場合。
特許権者の許諾を得ずに製造、販売された特許製品又は特許方法により直接得られた製品であることを知らずに、生産経営の目的で使用又は販売した場合、その製品の合法的な出所を証明することができたときは、賠償責任を負わない。
第64条
本法第20条の規定に違反して外国に特許出願し、国家の秘密を漏らした場合、所属機関又は組織又はその上級主管機関が行政処分を行う。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。
第65条
発明者又は創作者の非職務発明の特許出願権及び本法に定めるその他の権益を侵害した場合、所属機関又は組織又はその上級主管機関が行政処分を行う。
第66条
特許業務管理部門は、社会に対する特許製品の推薦などの経営活動に関与してはならない。
特許業務管理部門が前項の規定に違反した場合、その上級機関又は監察機関が是正、影響の除去、不法収入がある場合は没収を命じ、情状が重大である場合は、直接責任を負う主管職員及びその他の直接の責任者を法により行政処分する。
第67条
特許管理業務に従事する国家機関の職員及びその他の関係国家機関の職員が、職務怠慢、職権の濫用、私情により不正を行い、犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追究する。犯罪を構成しない場合、法により行政処分を行う。
第 8 章 附則
第68条
国務院特許行政部門に特許出願し又はその他の手続をするときは、規定に従って手数料を納付しなければならない。
第69条
本法は、 1985 年 4 月 1 日 より施行する。